Vol.7
住まいはあなたを変える力をもっている
タイムス住宅新聞 連載「建築士が語る 人生を楽しむ住まい」|一級建築士 村山 創
「より良きところに住め」という言葉をご存じでしょうか。
住環境を整えることで日々の幸福度を高め、さらにはあなたの能力を引き出すことができるという考え方です。私はこの言葉が好きで、住まいには人生を変える力があると信じています。
設計の仕事で多くのご家族と向き合ってきましたが、住まいが変わった後、表情や暮らしぶりまで変わる方を何人も見てきました。
今では副業や起業、在宅勤務など、働き方の選択肢が広がっています。家で過ごす時間が増え、住まいの質がそのまま仕事や暮らしの質につながる時代です。集中できる場所、疲れを癒やす時間。そうした環境の差が、日々の積み重ねの中で大きな差になっていきます。だからこそ、この言葉の意味はこれまで以上に重みを増しています。
持ち家は、住まいを「アップデート」できる
賃貸住宅には、暮らしの変化に合わせて気軽に住み替えられる良さがあります。一方で持ち家の最大のメリットは、住まいを自分の手で「アップデート」できることです。壁の色を変える、住宅設備を入れ替える。自分の暮らしに合わせて住まいを育てていけるのは、持ち家ならではの楽しみです。
そのアップデートを後押しする制度が始まりました。フラット35では2026年9月から、中古住宅の購入資金に加えて、簡易的なリフォーム資金もまとめて融資が可能になりました。これまでは別で用意する必要があったリフォーム費用を、住宅ローンと一体で借りられるようになったのです。中古住宅を買って自分好みに整える、という選択が、これまでよりずっと一般的になりました。
設備で、時間と家計にゆとりを
具体的には、食器洗い機や衣類乾燥機、自動調理コンロといった設備の設置も対象になります。こうした設備は家事を自動化して、これまで手間をかけていた時間や負担を大きく減らすことができます。一日30分でも、一年で約182時間。丸一日に換算すると、約7.6日分です。その分を勉強や副業に使ったり、子どもとの触れ合いにするなど、自由に使える時間が増えることは、暮らしの豊かさに直結します。
光熱費の面では、エコキュートや省エネエアコンへの更新も可能です。電気代の高い沖縄では、省エネ設備の導入効果は全国に比べて大きく、毎月の固定費を減らすことは、家計にゆとりを生むだけでなく、将来の選択肢を広げることにつながります。
住む場所でも、暮らしは変わる
住む場所の選び方でも変わります。たとえば職場の近くで割安な中古マンションを選び、内装や設備を自分好みに変える。通勤時間がなくなれば、毎日の生活は大きく変わります。沖縄であれば海の近くに住み、立地そのものを楽しむ選び方もあるでしょう。窓を開けて海を眺める暮らしは、きっと気分を大きく変えてくれるはずです。
小さな一手から始める
もちろん、いきなり大きな工事をする必要はありません。まずは設備を一つ入れ替える。一部屋だけ内装を変える。小さな一手でも、あなたの生活は確実に変わります。その変化を実感できたら、次の一手が見えてきます。
大切なのは、住まいを「与えられたもの」ではなく「自分でつくるもの」と捉えることです。今ある暮らしに合わせて家を選ぶのではなく、これからなりたい自分に合わせて住まいを整える。その順番を変えるだけで、住まいはあなたを変える力を持ち始めます。
家を変えることは、人生を変える大きな力になります。ぜひあなたの可能性を広げてください。