2026/10/19 一級建築士 村山 創
結論
耐震の証明を取れば、
税の優遇も使えます。
旧耐震の物件は、そのままでは住宅ローン控除などが使えません。でも、購入前に耐震の証明を取れば対象になります。フラット35は、独自の簡易な基準(耐震評価基準)で審査できるので、築年数が古いというだけで、あきらめる必要はありません。
旧耐震の物件とは
1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法が改正され、今の耐震基準(新耐震基準)が使われるようになりました。それより前に建築確認を受けた住宅が、旧耐震の物件です。
旧耐震基準
震度5強程度の揺れで、倒れないことを目安にした基準
新耐震基準
震度6強〜7程度の揺れでも、倒れないことを目安にした基準
注意したいのは、制度によって、判定に使う日付が違うことです。
| 制度 | 新耐震として扱われる住宅 |
|---|---|
| フラット35 | 建築確認日が1981年6月1日以後。確認日が分からなければ、登記の新築年月日が1983年4月1日以後 |
| 税の優遇 | 登記の建築日が1982年1月1日以後(住宅ローン控除・贈与の非課税など) |
工事には時間がかかるため、1982〜83年ごろに完成した住宅は、税の優遇では新耐震でも、フラット35では旧耐震になることがあります。建築確認日は、確認済証や、役所で取れる台帳記載事項証明書で確かめられます。
旧耐震の物件のデメリット
購入する前に、必ず確認しておきたい4つのことです。
沖縄に多い古い鉄筋コンクリート造の住宅は、塩害や中性化など、建物の傷みもあわせて確かめることが大切です。
耐震診断・耐震改修は、沖縄県の案内へ沖縄県は「耐震診断・耐震改修のすすめ」で、住宅の耐震化について案内しています(パンフレットあり)。耐震診断や耐震改修を考えるときは、まず県のページをご覧ください。沖縄県のページを見る耐震の証明を取る方法と、メリット
税の優遇を使うには、次のどれかで「耐震基準に適合している」ことを証明します。
1耐震基準適合証明書
建築士などが耐震診断をして発行します。
調査が取得の日前2年以内
2既存住宅性能評価書
登録住宅性能評価機関が評価し、耐震等級1以上と示されたもの。
評価が取得の日前2年以内
3既存住宅売買瑕疵保険
検査に合格して保険に入ると、付保証明書が証明になります。
契約が取得の日前2年以内
耐震の証明や改修は、購入前の準備が大切です
原則として取得前に耐震性を確認し、必要な手続きを進めましょう。耐震基準適合証明書では、取得の日前2年以内に証明のための調査を終えている必要があります。取得後に耐震改修する場合も、取得の日までの事前申請など、所定の条件を満たせば住宅ローン控除の対象になることがあります。
耐震の証明があると
- 住宅ローン控除が使える(中古住宅で最大140万円・10年。省エネ性能の証明があれば、さらに手厚く)
- 親からの住宅資金の贈与の非課税が使える
- 登記の登録免許税や不動産取得税の軽減を受けやすくなる
- 耐震診断の結果をもとに、地震保険の割引を受けられる場合がある
- 建物の弱いところが分かり、補強の計画が立てられる
フラット35は、独自の基準で審査できます
建築確認日が1981年5月31日以前の住宅でも、フラット35は使えます。フラット35には、耐震性に大きな問題がないかを簡易に確かめる「耐震評価基準」があり、これに合っていれば審査を受けられます。
木造・2×4の一戸建て
- 基礎が一体のコンクリートの布基礎(べた基礎を含む)
- 建物の形・壁の配置・筋かいなどの有無・壁の量の4つを点数にして、掛け合わせた値が1以上
鉄筋コンクリート造の一戸建て
- 1階の柱と壁の量が、2階より上の重さを支えるのに足りているかを計算する(判定は1階の柱と壁で行う)
- 計算した値が基準以上なら「適」。平屋は「適」とすることができる
マンション
一戸建てとは基準が違い、計算ではなく、建物の形を4つの項目で確かめます。
- 構造形式:柱と梁の構造(ラーメン)と壁の構造(壁式)を、上下の階で混用していない
- 平面の形:平面のずれが2m以内か全幅の1/2以内。張り出した部分の長さが幅の1/2以下か、面積が建物全体の30%以内
- セットバック:上の階が後退している場合、後退していない部分の長さが全体の2/3を超える(壁式は1/2)
- ピロティ:柱だけの階がある場合、建物の出すみ(角)が独立した柱になっていない
外階段やバルコニーは、ないものとして判定します。
耐震診断で、今の建築基準法と同じくらいの耐震性があると確認できた住宅も、この基準に合っているものとして扱われます。確認には、建物の構造が分かる図面が必要です。
フラット35の耐震評価と、税の耐震の証明は別のものです
フラット35の耐震評価基準に合っても、それだけでは住宅ローン控除の耐震の証明にはなりません。フラット35と税の優遇の両方を使いたいときは、どの書類が必要かを、購入前にまとめて確認しておきましょう。
当事務所でできること
フラット35の適合証明とあわせて、耐震評価基準による確認を行います(耐震評価は別途加算。構造の分かる図面が必要です)。販売図面や確認済証などをお送りいただければ、フラット35が使えそうかを書類の段階で無料で確認します。
この記事に関連する質問
旧耐震の物件とは、いつ建てられた住宅ですか?
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた住宅です。6月1日から、今の耐震基準(新耐震基準)が使われています。工事に時間がかかるため、1983年ごろに完成した住宅でも旧耐震のことがあります。
旧耐震の物件でも、フラット35は使えますか?
使えます。建築確認日が1981年5月31日以前の住宅は、フラット35独自の「耐震評価基準」に合っているかを確認します。木造・2×4は建物の形や壁の量、鉄筋コンクリート造の一戸建ては1階の柱と壁の量、マンションは構造形式や平面の形などを図面で確かめる簡易な基準で、合っていれば審査を受けられます。
旧耐震の物件でも、住宅ローン控除は使えますか?
耐震の証明があれば使えます。耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のどれかで、原則として取得前(取得の日前2年以内)に耐震性を確認します。取得後に耐震改修する場合も、取得の日までの事前申請など、所定の条件を満たせば対象になることがあります。
旧耐震のマンションでも、フラット35は使えますか?
使えます。マンションは、構造形式(ラーメン構造と壁式構造を上下の階で混用していない)、平面の形、セットバック、ピロティの4つの項目で、建物の形に大きな問題がないかを確かめます。確認には、構造の分かる図面が必要です。
沖縄の古い鉄筋コンクリート造の一戸建てでも、フラット35は使えますか?
使えます。鉄筋コンクリート造の一戸建ては、1階の柱と壁の量が2階より上の重さを支えるのに足りているかを、図面の数字で計算して確かめます。あわせて、塩害や中性化など建物の傷みも確認します。
旧耐震の物件のデメリットは何ですか?
住宅ローン控除や、親からの住宅資金の贈与の非課税、登記や取得の税の軽減が、そのままでは使えないことです。フラット35も、独自の耐震評価基準に合っているかの確認が必要です。購入前に耐震の証明を取れば、税の優遇も使えるようになります。
フラット35の耐震評価に合えば、住宅ローン控除も使えますか?
それだけでは使えません。フラット35の耐震評価基準はフラット35のための簡易な基準で、住宅ローン控除には、耐震基準適合証明書などの別の証明が必要です。両方を使いたいときは、購入前に、どの書類が必要かを確認しておきましょう。
※この記事は2026年10月時点の制度にもとづく一般的な説明です。税の特例の適用は、税理士や税務署にご確認ください。
出典:住宅金融支援機構「【フラット35】中古住宅 技術基準・物件検査手続のご案内」(付録3 耐震評価基準)、国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」