2026/10/22 一級建築士 村山 創
結論
太陽光を載せるなら、
つける価値があります。
沖縄で太陽光4kWに蓄電池7kWhをつけた試算では、15年でもとは取れます。そのうえ台風などの停電に備えられ、2027年4月からの新しいZEH「GX ZEH」では戸建住宅に蓄電池が必須になります。
蓄電池のメリット
停電・台風に備えられる
台風で停電しても、ためた電気で冷蔵庫・照明・スマホの充電などを使えます。太陽光だけでは、停電中に使えるのは発電している昼の間だけです。
昼の電気を、夜に使える
太陽光で昼に余った電気をためて、夕方から夜に使えます。昼に家をあけることが多い共働きの家庭ほど、効果があります。
売るより、使うほうが得
余った電気を売ると1kWh 24円(5年目からは8.3円)。ためて夜に使えば、沖縄電力から買う56円の電気を減らせます。1kWhあたり約32〜48円の差です。
電気代の値上がりに強い
買う電気が少ないほど、料金の改定や燃料費の上がり下がりの影響を受けにくくなります。
売電の価格は住宅用(2025年10月以降に認定)の1〜4年目24円・5〜10年目8.3円、買う電気は2026年11月の沖縄電力の料金改定後の56円で比べています。充電・放電のときのロスは含めていません。
太陽光4kWに蓄電池をつけると、20年でいくら?
沖縄で太陽光4kW(設置費用116万円)を載せた場合に、蓄電池(7kWh)をつけた試算例です。昼に余った電気をためて夜に使うと、売る電気が減り、買う電気も減ります。太陽光だけの試算は太陽光発電は買う・PPA・リースのどれがお得?で解説しています。
20年間で手元に残る金額(試算例・4kW+蓄電池7kWh・沖縄)
設置費用116万円
補助事業で導入された機器の水準(1kWhあたり13.1万円)
| 万円 | 太陽光だけ | +蓄電池(92万円) |
|---|---|---|
| 最初に払うお金 | −116 | −208 |
| 太陽光の効果(20年) | 309 | 309 |
| 蓄電池の効果(15年) | — | 101 |
| 手元に残る金額 | +193 | +202 |
蓄電池の効果
1〜4年目(売電24円)
年 約4.7万円
蓄電池の効果
5〜15年目(売電8.3円)
年 約7.5万円
1年に1,600kWhを夜に使うと、沖縄電力から買う電気が約9.0万円(1,600kWh×56円)減ります。その代わり、売る電気が1,780kWh減ります(ためるときと使うときに1割ほど失うため)。売電の価格が下がる5年目からのほうが、蓄電池の効果は大きくなります。
15年で、もとは取れます。そのうえ、停電への備えにもなります
蓄電池の15年間の効果(約101万円)で、蓄電池の価格(約92万円)は取り戻せます。20年で手元に残る金額は、太陽光だけと比べて約9万円多いくらいです。そのうえで、台風などの停電への備えになり、2027年4月からの新しいZEH「GX ZEH」の必須要件も満たせます。国や自治体の補助で安く入れられれば、その分だけ有利になります。
試算の条件:蓄電池7kWh。余った電気(年 約2,450kWh)のうち1,780kWhをためて、1,600kWhを夜に使うと仮定。蓄電池の寿命は15年とし、16年目以降の効果と交換の費用は含めていません。価格は1kWhあたり13.1万円(補助事業で導入された機器の設備費11.1万円+工事費2万円)。電気は56円/kWh、売電は1〜4年目24円・5年目以降8.3円。停電への備えの価値は、金額に含めていません。出典:経済産業省 定置用蓄電システム普及拡大検討会の資料(三菱総合研究所、2025年3月)。実際の効果は、蓄電池の容量・価格、電気の使い方、天気によって変わります。
2027年4月から、GX ZEHでは蓄電池が必須に
経済産業省は、ZEHの新しい定義「GX ZEH」を2027年4月から適用します。戸建住宅では、断熱等性能等級6・再エネを除いて35%削減・HEMSに加えて、定置用蓄電池の導入が必須になります(多雪地域・都市部の狭い敷地に建つ「GX ZEH Oriented」を除く)。
導入費用は、これから下がると予想されます
ZEHに必要になることで蓄電池の普及が進み、導入費用は下がっていくと予想されます。国は、家庭用蓄電池の価格を2030年度に工事費込みで1kWhあたり7万円(税抜)にする目標を掲げています。7kWhなら約49万円で、いまの水準(1kWhあたり13.1万円)の半分ほどです。
GX ZEHの4つの種類と、これまでのZEHとの違いはGX ZEHとは?で解説しています。2026年の国の補助「GX志向型住宅」(沖縄は1戸110万円)は、蓄電池は要件ではありません(GX志向型住宅の補助金)。
蓄電池の選び方
容量(kWh)
夕方から朝までに使う電気の量が目安です。家庭用は5〜10kWhほどが多く、大きいほど価格も上がります。
全負荷型と特定負荷型
停電のとき、家じゅうのコンセントで使えるのが「全負荷型」、冷蔵庫や照明など決めた回路だけで使うのが「特定負荷型」です。全負荷型は、機種によっては200Vのエアコンも使えます。
パワーコンディショナ
太陽光と蓄電池を1台で扱う「ハイブリッド型」なら、機器が少なく、電気のロスも小さくなります。すでに太陽光がある家は、いまのパワコンとの組み合わせを確かめます。
置き場所
屋外なら塩害に対応した機種を、海風が直接当たりにくい建物の陰に。重さがあるので、基礎や床の強さも確かめます。
いま付ける?あとで付ける?
これから新築する家
- 2027年4月からのGX ZEHをめざすなら、最初から付ける
- すぐに付けない場合も、置き場所と配線を最初の設計に入れておく。あとから付けるより、工事も見た目もすっきりします
- 太陽光と同時に入れるなら、ハイブリッド型のパワコンを選びやすい
すでに太陽光がある家
- 売電の価格が下がる時期(住宅用は5年目から8.3円)からのほうが、効果が大きい
- パワコンの交換(10〜15年ごろ)に合わせてハイブリッド型に替えると、交換の費用を重ねずに済む
- 費用は下がると予想されるので、時期を見て選ぶ考え方もある
初期費用0円で太陽光と蓄電池を載せる方法もあります。沖縄電力グループの「かりーるーふ」は、太陽光(7.5kW)と蓄電池(6.3kWh)を0円で設置し、15年契約で使った電気の分を払うしくみです。注意点は「かりーるーふ」のデメリットと注意点にまとめています。
当事務所がお手伝いできること
蓄電池の置き場所や配線を含めた設計と、太陽光・蓄電池を入れたときの省エネ計算、GX ZEHやGX志向型住宅の要件の確認を行います。
中古住宅のリノベーションで太陽光を載せる場合は、フラット35リノベなら工事費に含められます。
この記事に関連する質問
蓄電池は、つけたほうがいいですか?
太陽光を載せる家なら、つける価値があります。沖縄で太陽光4kWに蓄電池7kWh(約92万円)をつけた試算では、15年でもとは取れます。そのうえ台風などの停電に備えられ、2027年4月からの新しいZEH「GX ZEH」の必須要件も満たせます。
蓄電池のメリットは何ですか?
停電に備えられること、昼に余った太陽光の電気を夜に使えること、余った電気を売る(1kWh 24円、5年目からは8.3円)より、ためて使って沖縄電力から買う電気(56円)を減らすほうが1kWhあたり約32〜48円得になること、電気代の値上がりに強くなることです。
蓄電池は、もとが取れますか?
沖縄で太陽光4kWに蓄電池7kWhをつけた試算例では、蓄電池の15年間の効果は約101万円で、価格(約92万円)を取り戻せます。売電の価格が下がる5年目からのほうが、効果は大きくなります。
蓄電池がないと、新しいZEHになりませんか?
2027年4月から適用される新しいZEHの定義「GX ZEH」では、戸建住宅のGX ZEH+・GX ZEH・Nearly GX ZEHに定置用蓄電池が必須です。多雪地域や都市部の狭い敷地に建つ「GX ZEH Oriented」は必須ではありません。
いま付けるか、あとで付けるか迷っています。
これから新築する家なら、最初から付けるか、少なくとも置き場所と配線を設計に入れておくのがおすすめです。すでに太陽光がある家なら、売電の価格が下がる時期や、パワーコンディショナを交換する時期に合わせて付けると、効果と費用の面で無駄が少なくなります。蓄電池の費用は、これから下がると予想されます。
沖縄で蓄電池を置くときの注意点は?
屋外に置くなら、塩害に対応した機種を選び、海風が直接当たりにくい場所に置きます。台風で物が飛んでこない、建物の陰になる場所が向いています。重さがあるので、置く場所の基礎や床の強さも確認します。
※この記事の試算は、条件を仮定した一例です。実際の効果は、蓄電池の容量・価格、電気の使い方、天気によって変わります。特定の事業者や製品をすすめるものではありません。
出典:経済産業省「GX ZEH・GX ZEH-M 定義〈戸建住宅・集合住宅〉」(令和7年9月)、経済産業省 定置用蓄電システム普及拡大検討会の資料(三菱総合研究所、2025年3月)、経済産業省 資源エネルギー庁「固定価格買取制度(FIT)の買取価格」、沖縄電力「電気料金の改定について」(2026年11月)、沖縄新エネ開発「かりーるーふ」。