2026/10/19 一級建築士 村山 創
結論
「金利が上がっても
返し続けられるか」で選びます。
変動金利はいまは低い一方、金利は上がる流れにあります。返済額がすぐに変わらない「5年ルール」「125%ルール」があっても、利息が増えた分、元本は減りにくくなります。家計の余裕と、金利の上昇をどこまで受け止められるかで選びましょう。
変動金利と固定金利の違い
変動金利
市場の金利に合わせて、半年ごとなどに金利が見直されます。いまは低い金利で借りられます。
固定金利
借りたときの金利が、完済まで変わりません。フラット35が代表的です。
| 変動金利 | 固定金利 | |
|---|---|---|
| 金利の水準 | 低い(年1.2〜1.4%程度) | 高い(フラット35 年3.83%) |
| 金利の見直し | 半年ごとなど | なし(完済まで同じ) |
| 返済額 | 5年ごとに見直し(銀行による) | 最後まで同じ |
| 金利が上がると | 利息と返済額が増える | 影響なし |
| 金利が下がると | 利息が減る | 下がらない(借り換えで対応) |
金利は2026年10月時点の一例です(変動金利は主な銀行の公表金利、フラット35は借入期間21〜35年)。
金利は、上がる流れにあります
日銀の政策金利は、2024年3月まで続いたマイナス金利から、2026年9月には1.25%まで上がりました。市場では、到達点を2.5%台とみる予想も出ています。変動金利は、政策金利が上がると多くの銀行で同じように上がります。
政策金利
2024年3月まで
マイナス
政策金利
2026年9月
1.25%
到達点の予想
(市場)
2.5%台
出典:日本銀行、日本経済新聞(2026年9月25日)。予想には幅があり、エコノミストの予想の中央値は1.75%です。
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変動金利の「5年ルール」と「125%ルール」
多くの銀行の変動金利には、急に返済が増えないためのルールがあります。
Example
3年目に金利が1.3%→2.55%に上がったら
試算例:借入4,000万円・35年・元利均等返済
1〜5年目
約11.9万円
金利が上がっても同じ
6年目から
約14.6万円
約2.8万円増える
毎月の返済額。6年目の見直しは、1.25倍(約14.8万円)の範囲に収まっています。銀行によってルールが違い、ルールのない銀行もあります。
返済額が同じでも、利息は増えています
5年ルールがあると、金利が上がっても返済額はしばらく変わりません。でも、返済の中身は、利息が増えて元本の返済が減っています。
同じ毎月 約11.9万円の返済の中身(返済の最初の月)
金利1.3%のとき
金利2.55%に上がると
返済額は同じでも、元本の返済は半分以下になります。ローンの残高が減りにくくなり、そのぶん利息を長く払うことになります。
試算例:借入4,000万円・35年・元利均等返済の最初の月。
金利が大きく上がると、利息が残ることも
利息が返済額を上回ると、払いきれない利息(未払利息)が出ます。また、125%ルールで返済額が追いつかないと、最後に残高が残り、まとめて返すことになる場合があります。「返済額が変わらないから安心」ではないことを知っておきましょう。
35年で払う利息は、金利で大きく変わります
借入4,000万円・35年で払う利息の合計
変動 1.3%のまま
変動 3年目から2.55%
変動 3年目から3.5%
固定 3.83%
変動 3年目から4.5%
元利均等返済・ボーナス返済なし。変動金利は5年ルール・125%ルールで試算した一例です。実際の金利の動きは分かりません。
変動金利は、金利があまり上がらなければ、払う利息は固定金利より少なくなります。金利が大きく上がると、固定金利より多くなることもあります。固定金利は、いまの金利は高くても、払う額が最初から決まっている安心を買う選び方です。
どちらを選ぶ?選び方のポイント
変動金利が向いている人
- 金利が上がっても、返済を続けられる家計の余裕がある
- 手元の資金があり、繰り上げ返済で元本を早く減らせる
- 借入額が少ない、返済期間が短い
- 金利の動きを見て、借り換えなどを考えられる
固定金利が向いている人
- 返済額を、最後まで確定させておきたい
- 教育費がかかる時期など、家計に余裕がない時期がある
- 借入額が大きい、返済期間が長い
- 金利の動きを気にせず暮らしたい
選ぶ前に、確かめておきたいこと
変動金利を選ぶなら
- 金利が2.5%程度まで上がっても続けられるかを、試算しておく
- 借りる銀行に、5年ルール・125%ルールがあるかを確かめる
- 金利が上がったときの、繰り上げ返済や借り換えの備えを考えておく
固定金利を選ぶなら
- 完済まで変わらない「全期間固定」か、10年などの「期間固定」かを確かめる(期間が終わると金利が見直されます)
- いまの金利の返済額が、家計に無理なく収まるかを確かめる
- 省エネ性能などで使える、金利の引下げ(フラット35Sなど)を確かめる
どちらにも共通すること
- 「借りられる額」ではなく「返せる額」で借入額を決める
- 金利は申込のときではなく、お金を受け取る日に決まる
住宅の性能で、金利と負担を下げる方法もあります
変動・固定のどちらを選んでも、省エネ性能の高い住宅なら、フラット35の金利引下げや住宅ローン控除の上乗せが使えます。当事務所から変動・固定のどちらかをおすすめすることはしていませんが、性能で負担を軽くするお手伝いをしています。フラット35の金利引下げを見る ›
この記事に関連する質問
変動金利と固定金利の違いは何ですか?
変動金利は、市場の金利に合わせて半年ごとなどに金利が見直されます。いまは固定金利より低い一方、将来上がることがあります。固定金利は、借りたときの金利が完済まで変わらないので、返済額が最後まで決まっています。
変動金利の「5年ルール」「125%ルール」とは何ですか?
多くの銀行の変動金利にある返済額のルールです。金利が変わっても返済額は5年間変わらず(5年ルール)、5年ごとに見直すときも、それまでの返済額の1.25倍までしか上がりません(125%ルール)。急な負担増は防げますが、利息が増えた分だけ元本が減りにくくなります。ルールのない銀行もあります。
返済額が変わらなければ、金利が上がっても安心ですか?
安心とは言えません。返済額が同じでも、中身は利息が増えて元本の返済が減っています。金利が大きく上がると、利息が返済額を上回る「未払利息」が出たり、最後に残高が残って一括で返すことになったりします。
変動金利と固定金利、どちらを選べばいいですか?
家計の余裕と、金利の上昇をどこまで受け止められるかで決まります。金利が上がっても返済を続けられる余裕があり、繰り上げ返済もできるなら変動金利、返済額を最後まで確定させたいなら固定金利が向いています。当事務所からどちらかをおすすめすることはしていません。
※この記事の試算は、条件を仮定した一例です。金利や返済のルールは金融機関によって異なります。借入の判断は、金融機関や専門家とご相談ください。
出典:日本銀行(政策金利)、日本経済新聞「日銀政策金利、現状1.25%→到達点予想2.5%台に」(2026年9月25日)、各金融機関の公表金利、SBIアルヒ「【フラット35】の金利推移」、沖縄タイムス 2026年8月19日(県内の固定型の割合)