2026/10/30 一級建築士 村山 創
結論
35年で
約1,540万円の差になる試算です。
当事務所が設計したZEHの木造平屋と、省エネ基準の家を比べました(借入3,500万円・フラット35)。差の内訳は、金利の引下げ 約208万円、光熱費 約1,173万円、売電 約162万円。金利の引下げは最初の5年間だけですが、光熱費の差は35年続きます。
比べた2つの家
当事務所が2026年に設計したZEHの木造平屋(延べ約95㎡・太陽光5.74kW)の省エネ計算書をもとに、省エネ基準の家と比べました。新築のZEHはフラット35で3ポイント、子どもが1人いれば子育てプラスの1ポイントを足して4ポイント(当初5年間 年▲1.0%)の引下げを受けられます。この試算は、子ども1人の世帯です。
- ZEH(この事例):木造平屋・延べ約95㎡・太陽光5.74kW・エコキュート、断熱は等級6相当、沖縄(8地域)
- 省エネ基準の家:同じ大きさで、省エネ基準に合う計算上の基準の家(実際の家の多くはこれより省エネです)
- 借入:3,500万円・35年・元利均等、フラット35 年3.83%(2026年10月)。ZEH(子ども1人)は当初5年間 年2.83%
35年間に払うお金
10年で
約540万円
20年で
約941万円
35年で
約1,540万円
電気代は冷房・換気・給湯・照明の4つで、家電・調理は含みません(実際の電気代より低く見えます)。省エネ基準の家は年約39.0万円、ZEHは年約15.0万円から太陽光の自家消費分(約9.5万円)を差し引いた年約5.5万円です(自家消費分はすべてこの4つに充てたとみなす)。ZEHは売電収入も差し引いています(1〜4年目 24円、5〜10年目 8.3円、11年目以降は沖縄電力の買取期間満了後の単価 7.7円/kWh〈2025年10月時点〉。パネルの劣化と将来の単価の改定は見込まない)。単価は35年間1kWhあたり56円のまま、計算上の標準的な暮らし方での試算です。条件は下の表と注記のとおりです。
差の内訳
35年の支出の差(ZEHが少ない額、借入3,500万円・フラット35 年3.83%)
| 項目 | 1年あたり | 35年間 |
|---|---|---|
| 金利の引下げ4pt(ZEH+子ども1人)・当初5年間 ▲1.0% | 1〜5年目 毎月 ▲20,024円 |
▲約208万円 |
| 省エネ性能の光熱費冷房・換気・給湯・照明 | ▲約24.0万円 | ▲約840万円 |
| 太陽光の自家消費買わずに済む電気 | ▲約9.5万円 | ▲約333万円 |
| 太陽光の売電収入11年目以降は7.7円/kWh | ▲約3.7〜 11.5万円 |
▲約162万円 |
| 合計(試算) | 光熱費は 年▲約33.5万円 |
▲約1,540万円 |
35年間の返済総額は、省エネ基準の家 約6,360万円、ZEH 約6,151万円(元利均等・ボーナス返済なし、6年目以降は年3.83%)。光熱費は、省エネ計算書の一次エネルギー消費量を電気の量に換算し(9.76MJ/kWh)、1kWhあたり56円(沖縄電力の2026年11月改定後の平均的な単価)を掛けた当事務所の試算です。計算上の標準的な暮らし方を想定した値で、実際の使い方で変わります。「省エネ基準の家」は計算上の基準の家で、実際の家の多くはこれより省エネです。冷房の差は主に断熱と日射を遮る性能によるもので、選ぶエアコンの性能は反映していません。売電収入は、1〜4年目 24円、5〜10年目 8.3円(固定価格買取制度、2025年10月以降に認定を受けた住宅用の単価)、11年目以降は沖縄電力の買取期間満了後の単価 7.7円/kWh(10kW未満・税込、2025年10月時点)で計算し、単価の改定は見込んでいません。ZEHにするための追加の工事費、太陽光の出力の低下、パワコン・給湯機・エアコンの交換費用は含めていません。
金利の引下げは最初の5年間だけですが、光熱費の差は35年続きます。年約33.5万円は、毎月にすると約2.8万円です。フラット35が年1.89%だったころと比べて増えた毎月の返済(約3.7万円)の、約4分の3を光熱費の差で補える計算です。
この試算に含めていないもの
- ZEHにするための追加の工事費(建物と設備で大きく変わるため)
- 太陽光パネルの劣化、パワコン・給湯機・エアコンの交換費用
- 電気代と売電の単価の将来の変化(56円・7.7円のまま計算)
- 住宅ローン控除・補助金(ZEHは控除の借入限度額が上がり、GX志向型の補助金を使える場合もあります)
金利の引下げのしくみはフラット35の金利引下げ、何ポイント取れる?、ZEHの基準はZEHとZEH水準は、何が違いますか?、電気代の動きは沖縄の電気代は、上がっていますか?、金利の見通しは日銀が「物価2%」に届いたと判断。住宅ローンはどう変わりますか?をご覧ください。
当事務所がお手伝いできること
新築では、設計の段階から省エネ計算を行い、ZEHやGX志向型の基準を満たすかを確かめながら、金利の引下げや補助金に使える証明書を発行します。計算書ができれば、この記事と同じように、その家の光熱費と返済の差を試算してお伝えできます。
この記事に関連する質問
ZEHにするための追加の費用は、もとが取れますか?
追加の工事費は、建物の大きさや選ぶ設備で大きく変わるため、この試算には含めていません。この事例では、省エネ基準の家と比べて35年で約1,540万円の差が出る計算です。追加の費用がこれより小さければ、差し引きでプラスになります。新築のZEHは、みらいエコ住宅(GX志向型)などの補助金も使える場合があります。
光熱費の差は、本当にこれだけ出ますか?
計算上の標準的な暮らし方を想定した試算で、実際の使い方や住む人数で変わります。冷房の差は、主に断熱と日射を遮る性能によるもので、選ぶエアコンの性能は反映していません。家電と調理の電気代も含めていないため、実際の電気代はこれより高くなります。
太陽光を載せなくても、差は出ますか?
出ます。この事例では、太陽光を除いた省エネ性能の差だけで、電気代が年約24.0万円(35年で約840万円)少なくなる計算です。ただし、ZEHと認められるには太陽光などで電気をつくることが必要で、フラット35の金利引下げ(ZEH 3ポイント)も受けられなくなります。
中古住宅でも、同じように差が出ますか?
中古住宅でも、断熱や設備を良くするリノベーションで光熱費は下がります。フラット35はリノベと中古プラスの組合せで当初5年間 年▲0.75%、省エネ性能を証明すれば住宅ローン控除が10年から13年になります。どこまで性能を上げられるかは、物件ごとに確かめます。
※この記事は、1軒の計算書をもとにした試算です。家の大きさ・形・設備・暮らし方で結果は変わります。金利は2026年10月時点の一例です。