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Q&A

これからの家は、
どう買えばいいですか?

安く買い、良くして、
税で取り戻し、光熱費で家計を守る

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2026/10/20 一級建築士 村山 創

リノベーションを終え、屋上に太陽光パネルを載せた沖縄の鉄筋コンクリート造の住宅の前で、家族と柴犬が笑顔で過ごしている様子

結論

中古を買い、性能を上げ、
税で取り戻し、光熱費で家計を守る。

住宅価格は高止まりし、金利も電気代も上がっています。新築を予算いっぱいで建てても、支払いに追われる暮らしでは本末転倒です。一方で、2026年の税制改正で、国は「省エネ性能の高い中古住宅」を本気で後押しし始めました。建築士として私が考える住宅取得の戦略を、4本の柱で整理します。

カードを押すと、それぞれの柱の説明へ移ります。

いま家計に起きている4つの変化

金利・物価・電気代・家賃が、そろって上がる局面に入りました。住まいの選び方が、そのまま家計の防衛策になります。

いま家計に起きている4つの変化。1 金利:フラット35の金利は2025年10月1.89%から2026年10月3.83%へ約2倍。2 建築費:沖縄の新築の工事費(坪)は2015年65万円から2025年101万円へ1.5倍以上。3 電気代:沖縄の電気の単価(1kWh)は2023年5月まで33.33円から2026年11月から56円へ約1.7倍。4 家賃:沖縄の借家の家賃(月の平均)は2003年3.98万円から2023年4.94万円へ約1.2倍

1. 金利が上がっている

日銀は2026年9月、政策金利を1.25%に引き上げました。フラット35(21〜35年)の2026年10月の金利は3.83%です。借りる額そのものを抑えることが、これまで以上に大切です。

2. 物価が上がり続けている

物価が上がる状態は何年も続き、住宅の建築費も2020年度から約27%上がりました。沖縄の持家の一戸建の工事費は、10年で坪約65万円から約101万円になっています(沖縄の新築の建築費)。新築より価格が落ち着いている中古住宅の魅力が増しています。固定金利で借りたローンの返済額は変わらないため、物価が上がるほど実質的な負担は軽くなる面もあります。

3. 電気代が上がっている

沖縄の電気の単価は、2023年5月までの1kWhあたり33.33円から、2026年度は49.92円になりました。2026年11月からは、一般的な家庭で月1万円を超えます。沖縄は、太陽光や省エネ設備の効果が全国より大きく出る地域です。

4. 家賃も上がっている

那覇市の消費者物価指数では、家賃(持ち家を除く)は2020年を100として、2025年は103.0になりました。統計の家賃は住み続けている人の家賃も含むため、新しく借りる部屋の家賃は、もっと早く上がりやすいとされています。沖縄の土地の価格(2026年の路線価)も、前の年より6.6%上がり、上がり幅は全国で2番目でした。家賃は払い続けても資産になりませんが、家を持てば、住まいの費用を固められます。

家計のリスク防衛策柱
金利の上昇借入額を抑える(贈与の活用)/控除で利息の負担を取り戻す1・3
物価の上昇価格が落ち着いた中古を買い、性能で価値を高める1・2
家賃の上昇家を持って住まいの費用を固める(固定金利なら返済額は変わらない)持ち家と賃貸、どちらがお得? ›1
電気代の上昇電気を買う量を減らす4

柱1予算を下げる中古住宅を選ぶ

中古住宅は、取得費を抑えるいちばん確実な方法です。しかも2026年からは、中古でも住宅ローン控除が手厚くなりました。

  • 控除の期限が、2030年末までの入居に延長された
  • 省エネ性能の高い中古住宅は、控除期間が10年から13年に延びた
  • 床面積の条件が40㎡以上に緩和され、中古にも使えるようになった(合計所得1,000万円以下の場合)

物件選びで押さえたいこと

  • 築年数:登記上の建築日が1982年(昭和57年)1月1日以後の建物は、税の優遇に耐震の証明はいりません
  • 旧耐震の物件:1981年以前でも、取得の日までに耐震改修の申請をするなど、所定の条件を満たせば控除の対象になります。安い築古の物件も候補から外さずに済みます
  • 買取再販の物件:不動産会社がリフォームして売る物件は、条件を満たせば新築並みの控除が受けられる場合があります

沖縄のRC住宅は躯体が長持ちする一方、屋根の断熱や日射遮蔽が弱い物件が多いのが実情です。購入前の建物調査で「どこまで性能を上げられるか」を見極めることが、物件選びの基準になります。

柱2豊かにするリフォームで「ZEH水準」をめざす

中古住宅は、買ったあとのリフォームで暮らしの質が決まります。目標にしたいのが「ZEH水準」(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)です。太陽光の設置は条件ではありません。沖縄では、次の組み合わせでZEH水準に届く可能性があります。

  • 屋根スラブの断熱
  • 窓や庇による日射遮蔽
  • 高効率のエアコン・給湯器・照明への更新

暑さを和らげて快適にする工事が、そのまま税の優遇にもつながる。ここが中古リフォームの面白いところです。

沖縄のRC住宅は、外壁塗装で建物の寿命を守る

沖縄の鉄筋コンクリート造は、強い日差し、海からの塩分、台風の雨にさらされ、外壁が傷みやすい環境にあります。塗装がはがれ、ひび割れから雨水や塩分が入ると、コンクリートの中性化や鉄筋のさびが進み、コンクリートが割れて落ちる(爆裂)こともあります。

ひび割れの補修を含めた外壁塗装は、RC住宅の長い寿命を保つための大切な工事です。購入前の建物調査で外壁の状態を確かめ、リフォームの計画に入れておきましょう。日射を反射する塗料を選べば、暑さを和らげる効果も期待できます。

時短設備で「時間」も豊かにする

  • ビルトイン食洗機:毎日の食器洗いを機械に任せられ、手洗いより節水にもなります
  • 衣類乾燥機・浴室換気乾燥機:湿度が高く、梅雨や台風で外に干せない日が続く沖縄では、干す手間がなくなり、部屋干しのカビ対策にもなります

浮いた時間は、家族や自分の時間に回せます。共働きや子育て世帯にとって、時間は光熱費と同じくらい大切な「家計」です。国の「みらいエコ住宅2026事業」では、窓などの断熱改修とあわせると、ビルトイン食洗機にも1台3万円の補助があります(対象は原則2016年以前に建てられた住宅)。

ペットと暮らせる住まいにする

犬や猫を家族として、暮らしやすい住まいに直せるのも持ち家ならではです。賃貸では、床を替えることも、壁に棚を付けることもできません。

  • 床の防滑コーティングで、足腰への負担を減らす
  • 省エネエアコンで、留守番中も涼しく(つけっぱなしでも電気代を抑えやすい)
  • ペット用ドア・専用スペース・玄関の足洗い場

中古住宅の購入とあわせれば、費用を住宅ローンにまとめられる場合があります。ペットと暮らすリフォーム ›

リフォームだけでも住宅ローン控除は使えますが、取得とリフォームを別々に借りると、控除額はどちらか多いほうが上限になります。取得とリフォームの資金は、1本のローンにまとめるほうが有利になりやすいです。

柱3控除を増やす省エネ証明書・共有名義・贈与

同じ中古住宅でも、省エネ性能を「証明できるかどうか」で、住宅ローン控除は2倍以上変わります。

中古住宅の区分借入限度額期間控除の上限
ZEH水準(子育て世帯など)4,500万円13年約409.5万円
ZEH水準3,500万円13年約318.5万円
省エネ基準適合2,000万円13年約182万円
その他の住宅2,000万円10年約140万円

控除の上限=借入限度額×0.7%×控除期間。毎年の残高が限度額以上あり、税額も十分にある場合の最大値です。

証明書がカギ

性能を証明できる書類は、建設住宅性能評価書か住宅省エネルギー性能証明書です。BELSやフラット35の適合証明書は、住宅ローン控除の証明には使えません。証明書の調査は、取得の日の前2年以内か、取得の日から6か月以内に終えている必要があります。

共有名義で控除を受け止める

ペアローンや連帯債務なら、夫婦それぞれが自分の持分で控除を受けられます。片方の税額だけでは控除しきれない分を、二人で受け止められます。

  • 持分は資金の負担割合に合わせる(ずれると贈与税の問題が出ます)
  • 育休や時短で一方の所得税が減ると、控除が目減りする
  • 子育て・若者夫婦世帯の上乗せを使うなら、床面積50㎡以上が必要

親からの資金援助は「控除の枠を超える分」に

親や祖父母からの住宅資金は、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外は500万円まで非課税です(2026年12月31日までの贈与)。住宅ローン控除の借入限度額を超える部分を、贈与でまかなうのがおすすめです。

例:総額4,500万円・ZEH水準(限度額3,500万円)なら、限度額を超える1,000万円には控除がつかず、利息だけがかかります。ここを贈与で置き換えると、控除を減らさずに借入を減らせます。贈与を受けた分は控除の計算で取得価額から差し引かれますが、この例では4,500万円−1,000万円=3,500万円なので、控除は減りません。

柱4生活費を下げる太陽光・エコキュート・省エネエアコン

電気代は上がり続けています。電気を「買う量を減らす」価値は、年々高くなっています。省エネの効果は「減らした電気の量×単価」なので、単価が上がるほど大きくなります。

太陽光は「売る」より「使う」

2025年10月以降に認定を受けた住宅用太陽光の買取価格は、最初の4年が24円、5〜10年目が8.3円です。5年目以降は、売るより自分で使うほうがずっと得になります。沖縄の中古RCなら、屋根の防水・断熱の改修と同時に載せるのが合理的で、台風に耐える架台と塩害に強い仕様は欠かせません。

エコキュートは太陽光とセットで

国の「給湯省エネ2026事業」では、エコキュート1台に7万円(高効率の機種は10万円)の補助があり、電気温水器を撤去すると2万円が加わります。中古住宅には電気温水器が残っている物件が多く、相性のよい組み合わせです。電気温水器からエコキュートに替えると、年間で約19.9万円の差になります。

エアコンは日射遮蔽とセットで

沖縄の住まいは冷房の負担が中心です。エアコンの効率を上げる前に、屋根の断熱と日射遮蔽で暑さそのものを減らすのが先です。暑さが減れば、エアコンを一回り小さくでき、機器代も電気代も下がります。

光熱費を下げる設備が、控除の枠も広げる

高効率のエアコン・エコキュート・照明は、一次エネルギー消費量等級を押し上げます。断熱とあわせてZEH水準に届けば、柱3の控除の枠(3,500万円・13年)が使えます。なお、住宅ローン控除の判定に使う省エネ性能の評価では、太陽光の発電量は原則として数えません。控除のための性能は断熱と設備で確保し、太陽光は家計のために載せると考えると整理しやすくなります。一方で、省エネ性能ラベルでは太陽光の自家消費分も数えるので、太陽光を載せると★の数が増え、住まいの性能を伝えやすくなります。

取得の流れは5ステップ

4本の柱は、改修工事と設備の更新、証明書を一つのまとまりとして進めます。順番が大事です。

  1. 1 物件選び購入前に建物を調べ、「ZEH水準」の証明書を取れるかを確認する
  2. 2 耐震の確認旧耐震の物件なら、取得の日までに耐震改修の申請など、必要な手続きを進める
  3. 3 資金計画取得とリフォームを1本のローンにまとめ、共有名義の持分と、親からの資金援助(贈与)の充て先も決めておく
  4. 4 改修工事外壁塗装や時短設備と、エアコン・エコキュート・太陽光をまとめて工事する
  5. 5 証明と申告期限内に住宅省エネルギー性能証明書を取り、入居の翌年の確定申告で控除を受ける

いちばん多い失敗

「買ってから証明書のことを知った」というケースです。証明の調査には期限があります。物件を探し始めた段階で、建築士に相談しておくことをおすすめします。金利がいつ決まるかも確認 ›

まとめ:家は「買って終わり」ではなく「育てて得する」時代へ

安く買い、性能を上げて快適に暮らし、その性能を証明して税で取り戻し、光熱費を下げ続ける。これからの住宅取得は、この4本の柱を一つの計画として組み立てることが大切です。

制度は複雑ですが、順番さえ間違えなければ、誰でも使える仕組みです。中古住宅の購入やリフォームを考えている方は、ご相談ください。建物の調査、省エネの証明書の発行、フラット35の適合証明まで、一級建築士事務所 創環境Designがお手伝いします。金利のある時代の家の買い方 ›

この記事に関連する質問

これからの家は、新築と中古のどちらを選べばいいですか?

家計を守るなら、中古住宅を買って性能を上げる選び方がおすすめです。価格が落ち着いた中古を選び、断熱や設備のリフォームで暮らしを良くし、省エネ性能を証明して住宅ローン控除を増やし、光熱費を下げる。この4つを一つの計画として組み立てます。

中古住宅でも、住宅ローン控除は手厚く受けられますか?

受けられます。省エネ性能を証明できる中古住宅は、控除の期間が10年から13年に延び、借入限度額も上がります。ZEH水準なら控除の上限は約318.5万円(子育て・若者夫婦世帯は約409.5万円)で、証明がない場合の約140万円の2倍以上になります。

省エネ性能の証明は、いつまでに取ればいいですか?

住宅省エネルギー性能証明書の調査は、取得の日の前2年以内か、取得の日から6か月以内に終えている必要があります。いちばん多い失敗は「買ってから証明書のことを知った」というものなので、物件を探し始めた段階で建築士に相談しておくと安心です。

※この記事は2026年10月時点の制度にもとづく一般的な情報です。補助金は予算に達すると締め切られます。個別の適用は、税務署や専門家にご確認ください。

出典:国土交通省「住宅ローン減税」「住宅税制」、国税庁「住宅取得等資金の贈与税の非課税」、資源エネルギー庁「買取価格・期間等」、国土交通省・経済産業省・環境省「住宅省エネ2026キャンペーン」(給湯省エネ2026事業・みらいエコ住宅2026事業)、日本銀行、沖縄電力、国土交通省「建設工事費デフレーター」、沖縄県「那覇市及び沖縄県の消費者物価指数の動向(令和7年平均)」、内閣府(家賃の統計の性質)、沖縄国税事務所(路線価)

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